ヘムとポルフィリン 8:ヘムの進化
私たちの生命の起源、地球における生命の起源に深く思いを馳せると、
私たちは代謝の過程におけるポルフィリン体の中心的役割に感銘させられます。
植物の緑と血液の赤は生物の象徴です。
それは約46億年前に誕生した地球から始まりました。
この星で生命がどのように誕生したのか、その謎を解く鍵となる物質が「ヘム」と「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」です。
この2つの分子は、小さくても生命の進化に欠かせない存在でした。
今回は、地球誕生から生命誕生におけるヘムと5-ALAの役割について、分かりやすくお話しします。
約38億年前、原始の海で生命の最初の兆しが生まれました。
生命の誕生には、アミノ酸や核酸などの有機分子が重要な役割を果たしました。
そして、その中でも注目されるのがヘムと、その前駆体である5-ALAです。
5-ALAは、アミノ酸の一種で、地球上のほぼすべての生物が持つ基本的な分子です。
5-ALAはヒトや動物、植物のミトコンドリア、植物のクロロフィル(葉緑体)といった重要な細胞内小器官に存在し
生物がエネルギーを生み出す作用に密接に関係しています。
ヒトや動物では鉄分と結び付いて血液中のヘモグロビンの原料になり、
植物ではマグネシウムと結び付いて葉緑素となって光合成に寄与しています。
5-ALAはが8個連結することにより、
ヘムやクロロフィル、ビタミンB12など生体の重要な成分であるポルフィリンになります。
ポリフィリンは、炭素原子4個と窒素原子1個が環状になった五員環の化合物ピロールが4つ組み合わさった環状の有機化合物(テトラピロール)の総称です。
いくつかの生物を除いて、テトラピロールは自然界に広く分布しています。
ヘムは、ポルフィリンと呼ばれる環状平面分子の中心に鉄原子をもつ化合物です。
ポルフィリン環の修飾の種類や位置によっていくつかの種類に分類されます。
ヘムを分子中に取り込んで、はじめてその機能が発揮されるタンパク質をヘムタンパク質と呼び、通常、赤色を呈します。
酸素運搬体であるヘモグロビン、電子伝達に関与するシトクロム類、酵素活性をもつペルオキシダーゼなどがヘムタンパク質の代表例です。