Q1.

「水素を吸いすぎると、ミトコンドリアで電子が渋滞してATPが作れなくなる」
という説は本当ですか？

A1.

いいえ。

現在の

• ミトコンドリア生理学
• 水素医学（Hydrogen Medicine）
• ヒト臨床研究

のいずれにおいても、
そのような現象が起こるという科学的根拠はありません。

 

Q2.

そもそも、水素は電子を増やす物質なのですか？

A2.

違います。

• 分子水素（H₂）は
  • 電子そのものではありません
  • 電子を注入・供給する物質でもありません
• 電子伝達系（ETC）の
  • 基質でも
  • 阻害因子でも
    ありません

👉 「水素＝電子」という前提自体が誤解です。

 

Q3.

ミトコンドリアで電子漏れが増えるのは、どんな時ですか？

A3.

主に次のような状況です：

• 酸素不足（最終電子受容体が不足）
• NAD⁺不足
• 電子伝達系の構造的障害
• 老化・炎症・毒性ストレス

📌 水素吸入（数％H₂＋約20％O₂）は、これらに該当しません。

 

Q4.

水素吸入でATPが減った、エネルギーが作れなくなったという報告はありますか？

A4.

ありません。

むしろ多くの研究で：

• ミトコンドリア膜電位の維持
• mtROS（有害な活性酸素）の低下
• ATP産生環境の改善

が報告されています。

 

Q5.

では、水素はミトコンドリアで何をしているのですか？

A5.

水素は：

• 電子の「流れ」を止めるのではなく
• 電子漏れの結果として生じる有害活性酸素（•OH、ONOO⁻）を選択的に減らす

👉 ミトコンドリアの“邪魔”ではなく、“環境を整える”方向に働く
と理解されています。

 

院内まとめメッセージ

水素は電子ではありません。
水素を吸ったからといって、
ミトコンドリアの電子が詰まったり、
エネルギーが作れなくなることはありません。

当院で行っている
「数％の水素＋十分な酸素」という条件は、
現在の科学的知見に基づいた安全な範囲です。

 

注意点（スタッフ向け補足）

• SNSの一部説は
  • 水素（H₂）
  • 水素イオン（H⁺）
  • 電子（e⁻）
    を混同して説明しているケースが多い
• 図解がそれっぽくても、生理学的に成立しない説明が散見される