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クリニックからのお知らせ
頭痛と感染症の関係 ──インフルエンザ・新型コロナ流行時に知っておきたいこと──
近年、インフルエンザウイルス感染症や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が再び増加しています。これらの感染症は発熱や咳だけでなく、強い頭痛や全身倦怠感、吐き気を伴うことが多く、「ただの頭痛なのか」「感染症なのか」をご自身で判断するのは難しい場合があります。
ここでは、感染症と頭痛の関係、注意すべき症状、そして受診の目安について分かりやすく解説します。
1.なぜ感染症で頭痛が起こるのか?
感染症にかかったときに頭痛が起こる原因には、以下のようなものがあります。
① サイトカイン(炎症物質)の増加
ウイルスに感染すると、体内で免疫反応が起こり、サイトカインと呼ばれる炎症物質が増えます。
このサイトカインが脳や血管に作用し、ズキズキする痛み・締め付けられる痛みを引き起こすことがあります。
② 脱水・発熱による影響
発熱が続いたり、汗をかいたり、食事や水分が取れない状態が続くと、脱水が起こります。
脱水は脳血管の収縮や血流低下を招き、頭痛の悪化につながります。
③ 鼻炎・副鼻腔炎による頭痛
感染症に伴う鼻づまりや副鼻腔の炎症が原因で、
眉間や目の奥が痛む「副鼻腔性頭痛」を起こすこともあります。
④ 既存の片頭痛の悪化(トリガー)
インフルエンザやコロナ感染は、
普段片頭痛を持っている方の発作を誘発しやすいことが知られています。
2.頭痛薬が効きにくくなる理由
感染症の頭痛は、通常の片頭痛や緊張型頭痛と異なる性質を持つため、
普段使っている頭痛薬が効きにくいことがあります。
例えば、以下の薬剤(例:トリプタン系・複合鎮痛薬)は、
症状により効果が弱まることがあります。
- アマージ(トリプタン系)
- SG 錠(複合鎮痛薬)
その背景には、
- 炎症が強すぎる
- 発熱・脱水がある
- 胃腸症状があり吸収が悪い
- 頭痛薬の使用頻度が増えて薬物乱用頭痛(MOH)を起こしている
などが関係します。
薬を追加する前に、症状の原因を正確に評価することが重要です。
3.吐き気・嘔吐・血が混じる場合に注意
感染症では吐き気・嘔吐が起こることがありますが、
以下のような症状がある場合は必ず医療機関での診察が必要です。
- 血液が混じるように見える
- 何度も吐く
- 強い胃痛や胸の痛みを伴う
- 水分がとれない
強い嘔吐を繰り返すと、食道粘膜が傷つき(マロリーワイス症候群)血が混じることがあります。
また、胃炎・逆流性食道炎が悪化している可能性もあります。
「少量だから大丈夫」と自己判断せず、早めにご相談ください。
4.水素吸入と頭痛について
水素吸入は、体調管理やリカバリー目的で利用される方が増えていますが、
体調が悪い状態で長時間行うと、まれに自律神経が刺激されて頭痛が出る場合があります。
科学的に「長時間の吸入が危険」という明確な根拠はありませんが、
以下のような使い方が安全です。
- まずは 30〜60 分で様子を見る
- 体調不良の日は無理に行わない
- 吸入中に頭痛・動悸・気分不良があれば中止する
不安な点があれば、いつでもご相談ください。
5.受診を急ぐべき“危険のサイン”
次の症状がある場合は、感染症の有無に関わらず、早急な受診をおすすめします。
- いつもと違う、突然の激しい頭痛
- 発熱が長く続く(38°C以上)
- 首の痛み・硬さ
- 意識がぼんやりする
- 吐き気・嘔吐が強い
- 血液の混じった吐物
- 脱水が疑われる(尿が少ない、口が乾く)
感染症による頭痛は放置すると症状が悪化し、
肺炎や脱水、持病の悪化につながることもあります。
6.当院でできること
聚楽内科クリニックでは、
感染症に伴う頭痛の診断と治療を行っています。
- インフルエンザ・新型コロナの検査
- 点滴治療(脱水・倦怠感の改善)
- 頭痛薬(アマージなどトリプタン系薬剤含む)の適切な処方
- 胃腸症状・嘔吐への対応
- 水素吸入の適切な利用アドバイス
症状が続く場合は、自己判断せずに早めにご相談ください。
まとめ
感染症が流行する季節は、
「これは片頭痛なのか」「感染症なのか」が分かりにくく、
適切な治療を逃すことがあります。
- 頭痛+発熱+倦怠感 → 感染症の可能性
- 頭痛薬が効かない → 原因評価が必要
- 嘔吐・血が混じる → 早めの受診が必須
身体の異変を感じたら、無理をせず早めに受診してください。

