Q&A
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今朝、大阪在住の方からお電話で質問がありました。
和歌山に在住の80歳くらいの御高齢で、ベルケイドによる治療を始めているけれど、心臓に持病があり、貧血もあり、両足が腫れているということでした。
まずウコンの劇的効果がみられた症例は、T細胞という種類のリンパ球がHTLV-1というウイルス感染によって腫瘍化した血液腫瘍なのですが、その腫瘍化していく過程の早期の段階でした(くすぶり型)。
このような段階であれば、体内の腫瘍細胞数は比較的少なく、他の血液細胞、特に免疫細胞も残っているので、自然に存在するメディカルハーブなどを経口摂取することでも元の状態にもどることができると考えています。
しかしながら、今回の症例のように、腫瘍細胞が骨髄中に35%確認され、骨髄腫細胞が増殖し疾患が固定してしまった症例におきましては、化学療法に頼るしかありません。
多発性骨髄腫とは、リンパ球の中のB細胞が骨髄で生まれ、成熟してリンパ節において教育を受け、そして再び骨髄にもどって形質細胞となり抗体を産生するという液性免疫の過程において、その形質細胞が腫瘍化し、その1種類の抗体産生細胞(つまり骨髄腫細胞)だけが主に骨髄中で増え続けるという疾患です。
その結果、血液中に産生された異常な抗体が血球に付着し(赤血球の連銭形成)血液の流れを遅くして脳卒中・心不全・腎不全などを起こし、骨髄中で成長するほかの血液細胞が増えるのを抑えて貧血、さらには他の抗体産生まで抑えるので免疫不全状態になってしまいます。
また骨を破壊するため治療しなければ骨折が多発します。
治療方法としては、ベルケイドによる(腫瘍細胞増殖に携わる)NFκB阻害、あるいはサリドマイドやその新しい世代薬による血管新生の阻害など、腫瘍選択的な最近の治療方法は良いと思います。
ただ、心疾患をおもちの高齢者ということで副作用には十分に気をつけなければなりません。
また、脱水、貧血、高カルシウム血症、末梢神経障害、腎機能障害など細かくサポートすることが、患者さんが苦痛なく長生きするためには必要です。
ウコンの話にもどりましょう。
多発性骨髄腫細胞の増殖に携わる別のシグナル伝達経路の中に、インターロイキン6(IL-6)受容体下流のJAK/STAT系があります。
この経路の異常に対してはたらくのがクルクミンという物質であり、ウコンやカレーのターメリックに含まれています。
この経路の活性化状態は血液検査のCRPを測定することで判定できますので、定期的なCRP検査結果の動きをみてみるのも大事です。