Q&A
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摂食嚥下障害があると誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。このため、まずは摂食嚥下障害の自覚症状、他覚症状を観察し、摂食嚥下5期のどの段階に障害があるのかを知る必要があります。
摂食嚥下の5期とその障害による症状は以下のようなものです。
- 先行期(随意運動)
食べ物を見て、何をどれだけ食べるかを考え、口に入れるまでの過程です。適切な量や種類を口元まで運び、唾液の分泌や消化管の活動(胃液の分泌など)が始まります。認知症や脳卒中後遺症などで、食べたいという気持ちにならなかったり、食べ物をうまく口に運べなかったり、少しずつしか食べなかったり、あるいは逆に口に詰め込みすぎたり、口からこぼしたりします。
- 準備期(随意運動)
食べ物を噛んで(そしゃくして)食塊形成する過程です。このところがうまくできないと、口からこぼしたり、いつまでも食べ物が口の中にあったりして、食事に時間がかかります。
- 口腔期(随意運動)
食塊を咽頭に送り込む過程です。このとき軟口蓋が反り上がって鼻咽腔を塞ぎ、舌が口蓋に向かって押し上がり内圧を高めます。ここがうまくいかないと、上手に飲み込むことができず、のどがゴロゴロと鳴り、咳払いが多くなります。また後で熱をだすことがあります。
- 咽頭期(不随意運動)
咽頭に入った食塊が食道に入るまでの過程です。正常であれば0.8秒という短時間に、舌骨・喉頭の挙上、喉頭蓋の下方反転、声門の閉鎖、舌根部の後方移動、咽頭内圧の上昇、輪状咽頭筋の弛緩(食道入口部の開口)が行われ、食塊は食道へ入ります。この部分の障害は口腔期と同様、むせやすい、飲み込めていない、咳払いが多い、後で熱をだすなどの症状がみられます。
- 食道期(不随意運動)
食塊を食道から胃へ送り込む過程です。食道の機能に障害があれば、胃酸が食べ物と一緒に逆流し、胸焼けや誤嚥が起こります。
これらの障害を評価する方法として、造影法や内視鏡検査などがありますが、まずは喉の動きをみて、簡単にできるのは反復唾液嚥下テストではないでしょうか。
詳細は成書を参考にしていただくとして、喉頭隆起、舌骨に中指と人差し指を軽く当てて、唾液の空嚥下を30秒間観察し、喉頭隆起が中指を超え前上方に、舌骨が人差し指を超えて前上方に上がり、元の位置にもどる運動が行えるかどうかみて、3回未満であれば誤嚥の疑いがあります。