医療トピックス
食と健康
医学博士とシェフ/ソムリエの健康レシピ
ハーブを使った美味しい料理にワインを添えて病気の予防
<全12回>
第4回テーマ:
感染症「かぜ」
- ハーブ:
- エルダーフラワー
- レシピ:
- エルダーフラワーのティー、エルダーフラワーを使ったフランス料理「コンソメスープ・パリソワール、エルダーフラワー風味」
- おすすめワイン:
- エコ・バランスピノ・ノワールビオ・ビオ・ヴァレー 2016年
かぜ症候群は外来診療で最も頻繁にみられる感染症のひとつ
かぜ症候群は外来診療で最も頻繁にみられる感染症のひとつです。原因のほとんど(80~90%)が、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ヒューマンメタニューモウイルスなど、ウイルスです。鼻症状(鼻水、鼻づまり)、咽頭症状(喉の痛み)、下気道症状(咳、たん)という3つの症状があります。
インフルエンザ流行期は外出から帰ったら、うがいと手洗いはもちろん、身体を暖かくして休むようにしましょう。聚楽内科クリニックでは毎年10月から医療スタッフや介護施設スタッフの予防接種を開始し、11月には特養老人ホーム入所者への予防接種を終了するようにして、インフルエンザウイルス予防・院内感染対策を徹底しています。またインフルエンザ抗原迅速検査を行い、陽性であれば1回で済む点滴(ラピアクタ)で治療し、あるいは1回の内服治療薬(ゾフルーザ)の処方を行います。
発汗や利尿作用に優れ抗アレルギー作用を持つハーブ:エルダーフラワー
- 学名
- Sambucus nigra(サンブクス ニグラ)
- 和名
- セイヨウニワトコ
- 科名
- レンプクソウ科(スイカズラ科)
レンプクソウ科は新しい科名、スイカズラ科はこれまで使われてきた科名 - 使用部位
- 花部
- 花の色
- クリーム色
- 主要成分
- ラボノイド配糖体(ルチン、クエルシトリン)、クロロゲン酸、粘液質(多糖類)、ミネラル(特にカリウム)、精油
- 作用
- 発汗、利尿、抗アレルギー
- 適応
- インフルエンザ、風邪、花粉症
TIPS
エルダーフラワーは、淡黄色の色素成分であるフラボノイドを豊富に含むハーブの代表で、発汗や利尿作用に優れています。発汗にはフラボノイドとクロロゲン酸などのフェノール酸が、利尿にはフラボノイドとミネラル分のカリウムが関与しているものと考えられます。抗アレルギー作用を持ち、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのカタル症状を和らげるので、風邪、インフルエンザ、花粉症などに用いられます。
欧米では、昔から「インフルエンザの特効薬」といわれ伝統的な自然飲料として、コーディアルがあります。ハーブをシロップに漬け込んだ甘い飲み物で小さなお子様やお年寄りにも適しています。
エルダーフラワーの安全性について
適切に使用する場合、クラス1に分類されます。
エルダーフラワーを使ったおすすめのレシピ
エルダーフラワーのティー
作り方:
- 細かくしたエルダーフラワーを熱湯で3分間抽出し、茶こしを使ってカップに注ぎます。
エルダーフラワーを使ったフランス料理:コンソメスープ・パリソワール、エルダーフラワー風味
作り方
- バターで玉葱、ポワローをスライスし炒め、しんなりして甘味が出たらジャガイモのスライス入れ、塩を加え、ブイヨンを入れて沸騰させ、出てきたアクを丁寧に取り除くきます。
- ジャガイモに火が入ったらミキサーにかけ裏濾します。
- 再び火にかけ生クリーム、塩を入れ、味を整えます。
シェフからのアドバイス
- 玉葱、ポワローは甘味が出るまで良く炒め、スライスしたジャガイモはでんぷん質が出過ぎないように炒めます(ふちが透明になってきたらOK)。
- 下味をつける時は、ブイヨンを入れる前に行います(ブイヨンを入れる前の方が味がのりやすいため)。
この料理にはこのワインがおすすめ
自然派・ビオワイン
エコ・バランスピノ・ノワールビオ・ビオ・ヴァレー 2016年
- 銘柄
- エコ・バランス ピノ・ノワール
- ヴィンテージ
- 2016年
- タイプ
- 赤
- 品種
- ピノ・ノワール
- 原産国
- チリ ビオ・ビオ・ヴァレー
- 造り手
- ラファエル、ホセ(ギリサスティ兄弟)
ビオロジックやビオディナミを実践するチリの生産者
エミリアーナは、チリの大手コンチャ・イ・トロ社を経営するギリサスティ家が、一族で独自に所有するワイナリーで、1986年に設立されました。カサブランカ、マイポ、コルチャグア、カチャポール、ビオビオの5つのヴァレーに1111haの自社畑を所有しています。生産量は80万~100万ケース。ラファエルとホセのギリサスティ兄弟は有機栽培に関心を持つようになり、その道の第一人者であるコンサルタントの友人アルバロ・エスピノザ氏を迎えて、90年代から有機栽培を導入してきました。2001年、スイスの認証機関「IMO」から畑の一部が有機栽培の認証を受けたのを手始めに、2005年には「Ge 2003」が南米で初めて、デメターからビオディナミのワインとして認証を受けました。現在、有機栽培かビオディナミを導入した畑を762ha、有機栽培に転換中の畑は349ha所有しており、畑にはホロホロ鳥やニワトリを放し飼いにして害虫やミミズを食べさせ、ハーブや草花を植えることにより調和のとれたエコシステムを実現しています。 彼らは、環境保全型農業や有機栽培、バイオダイナミック農法を実践することにより、良いバランスで、より健康的なブドウを栽培することができ、その生産力も上がり、結果的により高品質なワインが造れると固く信じています。