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医学博士とシェフ/ソムリエの健康レシピ

ハーブを使った美味しい料理にワインを添えて病気の予防

<全12回>

第7回テーマ:

女性におすすめのレシピ

    ハーブ:
    セントジョンズワート、ラズベリーリーフ
    レシピ:
    セントジョンズワートのティー、ラズベリーリーフのティー、ラズベリーリーフを使ったフランス料理:カナダ産活きオマール海老のポアレ、ラズベリーリーフとハーブを練りこんだバターソース
    おすすめワイン:
    ヴィニウス オーガニック カベルネ・メルロー 2014

月経前症候群とは

 今回は女性特有の症状である月経痛を和らげるメディカルハーブ2種類をご紹介します。
新しい仕事や学業をスタートする時期に新しい職場や学校、そして地元を離れての生活は、楽しみでもあり、少し不安でもあります。そのように環境が変化する中で、少しでも気持ちを楽にして自分がやりたいことに集中できるように、月経前症候群を取り上げます。

 月経前症候群とは、月経周期後半(月経の約14日前)に起こる肉体的、精神的、感情的な広範囲の症状をいいます。月経前3~10日間の黄体期に続く精神的あるいは肉体的症状で、月経とともに減弱あるいは消失します。月経周期と症状との関連性を確認するために、基礎体温表に症状を記載した症状日誌が有用です。
一般的な傾向として以下の症状が多くみられます。

  • 浮腫み
  • 乳房の腫れ、痛み
  • 頭痛
  • 性欲減退
  • 腰痛、全身の痛み
  • 低血糖
  • 便秘または下痢
  • 吐き気、嘔吐
  • 疲労感、めまい、無気力、失神
  • 動悸
  • 不眠
  • 肉体、神経の緊張によるぎこちなさ
  • 不安、気分のむら、イライラ、攻撃性、自己嫌悪、抑うつ、自暴自棄など精神不安
  • 物忘れ、集中力の低下
  • 月経痛、下腹部のひきつり
  • 咽頭炎、ものもらい、ヘルペス、化膿
  • 喘息、てんかん、膀胱炎などの慢性疾患、アレルギーなど

 月経前症候群の要因は一般的にはプロゲステロンに対するエストロゲン過剰によるホルモンのアンバランスが原因とされています。場合によっては、思春期や妊娠した後、ピル服用の中止後、病気やダイエットなどホルモンの変化によって引き起こされることもあります。その他にも以下のような要因があります。

  • 遺伝的な体質
  • 年齢(30歳以上)
  • ストレス
  • 甲状腺機能の低下
  • プラスティックやポリ塩化ビフェニルなど環境由来の毒素(環境ホルモン)
  • 水道水や食肉に残るエストロゲン成分
  • 肝機能の低下によりエストロゲンが分解されない
  • 必須脂肪酸、ビタミンB、C、マグネシウム、亜鉛、クロム、カルシウムなどの欠乏
  • 塩分の過剰摂取
  • 便秘
  • カフェイン、アルコールの過剰摂取
  • 糖分の過剰摂取
  • 運動不足

ホルモンバランスを整える作用と抗うつ作用でよく知られるハーブ:セントジョンズワート

    学名
    Hypericum perforatum(ヒペリクム ペルフォラトゥム)
    和名
    セイヨウオトギリソウ
    科名
    オトギリソウ科
    使用部位
    開花時の地上部
    花の色
    黄色
    主要成分
    フラボノイド配糖体(ヒペロシド、ルチン)、ヒペリシン、ハイパーフォリン、タンニン、精油
    作用
    鎮痛、抗うつ、消炎
    適応
    創傷、月経前症候群、軽度から中程度のうつ

TIPS

 セントジョンズワートを利用してエストロゲンとプロゲステロンの量を正常化し、ホルモンバランスを整えます。また、強肝、利胆作用のあるハーブを加えことも有効です。

 草丈1m前後の多年草です。ヨーロッパや中央アジアが原産です。ホルモンバランスを整える作用と、抗うつ作用でよく知られています。浸出油にもよく使われる代表的なハーブです。色々な説がありますが、学名のperforatumは、葉に沢山ある分泌腺が葉を貫通して見えることから、ラテン語で「貫く」を意味するperforoに由来すると言われています。

 最近になってこの優れた抗うつ作用が注目されるようになりました。うつの原因ともいわれる脳内のセロトニン濃度を高めて、不安や悲しみを和らげ明るい気持ちにしてくれます。これは更年期や月経前症候群の症状、悲観、絶望、恐れなどの感情にも効くようです。季節性感情障害にも有効です。心に明るさを取り戻してくれることから、「サンシャインサプリメント」とも呼ばれています。消炎、鎮痛作用があり、外用として生理痛や腰痛、神経痛を抑えます。切り傷や火傷にも有効です。その場合はセントジョンズワートの浸出油やチンキを作っておくと便利です。

セントジョーンズワートの安全性について

適切に使用する場合、クラス1に分類されます。

セントジョーンズワートを使ったおすすめのレシピ

ホルモンバランスを整える作用と抗うつ作用でよく知られるハーブ:ラズベリーリーフ

    学名
    Rubus idaeus(ルブス イダエウス)
    和名
    ヨーロッパキイチゴ
    科名
    バラ科
    使用部位
    葉部
    花の色
    白色
    主要成分
    フラボノイド配糖体(フラガリン)、タンニン(没食子酸、エラグ酸)、ビタミンC
    作用
    鎮静、鎮痙、収れん
    適応
    月経痛、月経前症候群、出産準備、下痢

TIPS

 ラズベリーリーフとは、バラ科のラズベリー(ヨーロッパキイチゴ)の葉です。
 昔から女性のためのハーブとして知られています。ほんのりと甘く飲みやすいので、どなたにもお楽しみいただけます。含有成分のフラガリンが子宮筋や骨盤の筋肉を正常に整えます。月経前症候群、生理痛などの憂鬱な症状や、お子様の下痢止めとしても使われます。子宮や骨盤の周辺の筋肉を調整し生理痛などのつらい症状を緩和したり、妊娠後期に飲み続けることで分娩中の出血を抑えたり、子宮の収縮を促し分娩を楽にするといわれています。さらに、ビタミンCや鉄分、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれるので、授乳期には母乳の栄養価を高めるお手伝いをしてくれます。安産のためにも妊娠中は出産1ヶ月前からが摂取の目安です。

ラズベリーリーフの安全性について

適切に使用する場合、クラス1に分類されます。

レシピ

セントジョーンズワートのティー

セントジョーンズワートのティー
作り方:
  • 細かくしたセントジョンズワートを熱湯で3分間抽出し、茶こしを使ってカップに注ぎます。

レシピ

ラズベリーリーフのティー

ラズベリーリーフのティー
作り方:
  • 細かくしたラズベリーリーフを熱湯で3分間抽出し、茶こしを使ってカップに注ぎます。

ラズベリーリーフを使ったフランス料理:カナダ産活きオマール海老のポアレ、ラズベリーリーフとハーブを練りこんだバターソース

ラズベリーリーフを使ったフランス料理:カナダ産活きオマール海老のポアレ、ラズベリーリーフとハーブを練りこんだバターソース

作り方

  • バターを常温に戻しておく。
  • にんにく、エシャロットを入れて撹拌し、良く洗ったパセリ、セルフィーユ、ディル、イタリアンパセリ、小葱、粉末にしたラズベリーリーフを入れ、常温に戻しておいたバターを少しずつ加え、撹拌し良く馴染ませる。
  • 馴染んで鮮やかな緑色になったら、レモン汁、塩、胡椒で味を整える。
  • ほうれん草をバターで炒め、塩、胡椒をし、皿の中心に盛り付ける。
  • オマール海老を縦半分に割り、爪と、腕は少しの塩を入れたお湯で、4分30秒ボイルる。
  • 頭の部分は砂袋と背綿をきれいに取り除き、フライパンにオリーブオイルを流し焼く。途中白ワインを注ぎ、蓋をして蒸し焼きにする。
  • 焼き上がりにボイルした爪と腕を入れ、リキュール「ペルノ」でフランベし、ほうれん草の上に飾る。
  • オマール海老の身と周りにハーブソースを流し、オマール海老の頭の部分にセルフィーユ、ディル、イタリアンパセリにボイルした小葱の穂先で結びハーブの束を作り飾る。

シェフからのアドバイス
シェフからのアドバイス
  • カナダ産オマール海老はフレッシュな雌を選びましょう。雄よりたんぱくで肉厚なため、白ワインで蓋をして蒸し焼きにすると海老の殻に含まれるアスタキサンチンの成分がはたらき鮮やかな赤色に変化します。
  • 仕上げに「ペルノ」(オマール海老や海老類の相性抜群)でフランベすることにより香り高い良質なオマール料理が仕上がります。
  • ハーブバターを作る時は、先にハーブを撹拌してから常温に戻したバターを入れるようにしないと、鮮やかな緑色のバターに仕上がりません。注意してください。
この料理に使うお酒

ペルノ・アブサン

    原産国
    フランス
    原材料
    ニガヨモギ、グリーンアニス、各種ハーブ
    カテゴリー
    アニスリキュール
    アルコール度
    68度
    取扱い上の注意
    高アルコール度数のため、火気厳禁

 20世紀末のフランスのあらゆるカフェにペルノ・アブサンは置かれ、画家、作家、詩人など多くの芸術家がこぞってペルノ・アブサンを手にしていました。ゴッホ、モネ、ロートレック、ランボー・・・など。ペルノ・アブサンの魅力的な色と感性を刺激する作用から、「緑の詩神」「緑の妖精」と呼ばれ、食前酒としてパリで大流行したそうです。その後に大西洋を渡ってアメリカへと伝わり、その人気はとどまることを知らず、とうとう製造が需要に追いつかない状態になりました。その結果、混ぜ物をした品質の劣る安い模造品が出回り、“人々を狂わせるアルコール”として1915年にアブサンの製造と飲用が禁止となりました。
 1988年に、以前許可されていたよりも低濃度であればニガヨモギ(ワームウッド)をベースにしたスピリッツとして製造してもよくなりましたが、アブサンと呼ぶことは許されませんでした。しかし2011年、フランスでの法改正を受け、オリジナルの製法によるアブサンの製造、販売が可能になりました。
 現在のペルノ・アブサンは、19世紀の手書きのレシピに基づき、ニガヨモギとグリーンアニスをワインスピリッツにしてマセレーション(浸漬)させたあと、銅製の蒸留器で蒸留。その後、スターアニスやメリッサ(レモンバーム)、小ニガヨモギ、ヒソップ、イラクサの香りのブーケをマセレーションさせ、アブサンが最初に製造された時とまったく同じ伝統的なプロセスによって製造されています。

この料理にはこのワインがおすすめ
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ヴィニウス オーガニック カベルネ・メルロー 2014

    銘柄
    ヴィニウス オーガニック カベルネ・メルロー 2014
    ヴィンテージ
    2014年
    タイプ
    品種
    カベルネ・ソーヴィニョン50%、メルロー50%
    原産国
    フランス・ラングドック・ルーション
    造り手
    ヴィニウスジャン・クロード・マス

 イギリスの有力誌ガーディアン誌が毎年発表する「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」、さらにフランスのレクスプレス誌の 「ニュー・ウェーヴ・オブ・ザ・ワイン 2008年フランスの明日を担う30人の醸造家」にも選出されるなど、今やリーズナブルで本格的なスタイルを貫く生産者として、世界各国のコンクールや評価誌、そして専門家たちから高く評価されています。エコセール認証を取得した、有機栽培のブドウだけを使用している、こだわりのシリーズです。

tasting notes
ソムリエのテイスティングコメント
 オーク樽熟成により複雑性を与えられたこのワインは、ブルーベリーやレッドペッパーのニュアンスを感じることができる、エレガントで豊かな味わいをお楽しみいただけます