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医学博士とシェフ/ソムリエの健康レシピ
ハーブを使った美味しい料理にワインを添えて病気の予防
<全12回>
第9回テーマ:
胃腸の不調その1「腹痛」
- ハーブ:
- ペパーミント
- レシピ:
- ペパーミントのティー
消化器の機能を調整し、不快な症状を鎮める機能として、精油を主要成分にもつメディカルハーブのペパーミント
腹痛は、その発症から数日以内にどんどん悪くなっているのか、半年以上継続しあるいは発作を繰り返すのか、という急性か慢性かという区別、痛み性状が鈍いものか、差し込むようなものか、激烈なものか、他に症状を伴っているか、食前か食後か、などの情報により原因を絞り込んでいきます。今回は、数時間で命に関わるほどの重症は除いて、あるいは治療が必要な消化性潰瘍や感染性腸炎を除く緊急性のない、経過観察できるような場合を対象としています。いわゆる非特異性腹痛とよばれるものです。
一言に腹痛と言っても様々な要因が考えられます。ただの食べすぎ、飲みすぎが原因のものや、食欲不振や消化不良、吐き気などの不快な症状をともなうものがあります。また私たちが毎日生活をするうえでの、誰しもが抱えている悩みごと、悲しみ、怒りなど心の不安定な状態によって、胃が痛くなったり、腸の具合がおかしくなったりと消化器系の症状が出現することもあります。
そこで消化器の機能を調整し、不快な症状を鎮める機能として、精油(ℓ-メントール、メントン、メントフラン)を主要成分にもつメディカルハーブのペパーミントについてご紹介します。
胸やけ、吐き気、痙攣性の痛みによく効く天然の胃腸薬:ペパーミント
- 学名
- Mentha piperita(メンタ ピぺリタ)
- 和名
- セイヨウハッカ
- 科名
- シソ科
- 使用部位
- 葉部
- 花の色
- 薄紫色
- 主要成分
- 精油(ℓ‐メントール、メントン、メントフラン)、フラボノイド(アピゲニン、ルテオリン)、タンニン(ロスマリン酸)、カフェ酸、クロロゲン酸
- 作用
- 賦活、鎮静、鎮痙
- 適応
- 集中力欠如、食欲不振、過敏性腸症候群
TIPS
ミントは草丈1.2mほどの多年草です。簡単に自然交配してしまうので、いろいろな種類があります。ペパーミントはその中でも代表的なハーブです。ペパーミントは、ウォーターミント(M.aquatica)と、スペアミント(M.spica)の自然雑種から生じた栽培種とされています。学名のpiperitaは、ギリシャ語でコショウを意味するpeperiが由来です。そのことからもわかるように、ペパーミントはほかのミントよりスパイシーで強い香りがあります。
ペパーミントは、昔から癒しや浄化と関連付けられてきました。家具や床などにこすりつけると、その場の悪いエネルギーを除いてくれるといわれていました。また、財布の中にペパーミントを入れることで、金運がアップするとして使われていました。
ペパーミントは、賦活後、鎮静させてくれる珍しいハーブです。中枢神経を刺激し、脳の働きを活性化してくれます。眠気を吹き飛ばし、集中したいときに向いています。熱を覚ます効果があるので、暑い夏に冷たいミントティーはぴったりです。発熱時にも体を冷ましてくれます。また、上腹部の機能性、痙攣性障害に有効で、胸やけ、吐き気、痙攣性の痛みによく効きます。天然の胃腸薬です。消化を助けてくれるので、食べ過ぎや胃もたれ、乗り物酔いにも効果的です。ペパーミントの精油成分には、大腸菌や黄色ブドウ球菌に対しての抗菌作用があるので、それらが原因の消化不良や吐き気に効果を示します。さらに精油成分は平滑筋に作用し、カルシウムイオンの調整を行い、鎮痙作用をもたらすことが科学的に証明されています。したがって鼓脹や過敏性腸症候群にも効果的です。ペパーミント精油を直接使用する場合は禁忌が多いのですが、ハーブはその作用が穏やかなので使いやすくなっています。
ペパーミントの安全性について
適切に使用する場合、クラス1に分類されます。
ペパーミントを使ったおすすめのレシピ
ペパーミントのティー
作り方:
- 細かくしたペパーミントを熱湯で5分間抽出し、茶こしを使ってカップに注ぎます。