医療トピックス
健康講座アーカイブス
聚楽内科クリニック院長先生の
健康講座
第2回:
高齢者のがん治療
- 開催日:
- 2017年6月17日
- 場所:
- 特別養護老人ホーム 風の木苑
- 講師:
- 聚楽内科クリニック院長 武本重毅
平成29年6月17日土曜日の14:00~14:30、特別養護老人ホーム 風の木苑 1F地域交流ホールにて第2回健康講座を開催しました。第1回目終了時の案内では5月22日とアナウンスしていたため、その日に集まっていただいた皆様には大変ご迷惑をおかけしたことを、この場を借りて陳謝いたします。
日本の高齢化社会において、死因の第1位はがんとなりました。これは肺癌や大腸癌のように加齢とともにがん患者数も増えているからでしょう。
がんの治療法もまた高齢者患者に適応となるような形に進化しています。外科手術は心肺機能などが保たれ、日常生活に不自由のない高齢者であれば100歳であっても適応となりますし、内視鏡下手術や腹(胸)腔鏡下手術など開腹(胸)手術と比べて侵襲の少ない術式を行うことにより、入院期間を短縮し長期臥床による筋力低下などを最小限度に抑えることができるようになりました。さらには21世紀に入り次々に開発されている分子標的治療により、手術不能の難治症例であっても治療効果ならびに長期生存を期待できる時代となりました。わたしが携わってきた細胞増殖に関わるシグナル伝達研究の話は、その標的となる分子を説明する上で必要と思いご紹介したのですが、少し内容が難しかったかもしれません。
そして、少子高齢化が進む中でわれわれが最も取り組んでいかなければならないのは、がんの予防と早期発見です。特にがんを発症する患者さんには共通の背景があります(スライド)。これらの危険因子を取り除くことによって、がんの発症を回避することができると考えています。病気になってから治療を始めるのではなく、病気にならないように自分で身体や生活をコントロールし、発症するリスク(危険性)を抑えるようにしましょう。