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聚楽内科クリニック院長先生の
健康講座

第4回:

高齢者の発熱

    開催日:
    2017年7月22日
    場所:
    特別養護老人ホーム 風の木苑
    講師:
    聚楽内科クリニック院長 武本重毅

 今回は、この暑い夏に知っておいていただきたい、発熱や体温上昇に関するお話です。
 体温の正常値、すなわち平熱は何度かご存知ですか?日内変動があり、早朝よりも夕方になると体温は高くなります。そして高齢になると、体温調節機能が低下します。汗をかきにくい体になります。体内の熱を放出する反応は遅く、不十分になります。その体温調節の範囲を超えて熱が体の中にたまってしまうのが、「熱中症」という病気です。このように、高齢者は屋内にいても熱中症になるリスクがあります。対策として、クーラーで部屋を冷やしましょう。水分をこまめに飲むようにしましょう。外出するときは、日傘や帽子で日差しを避け、首を冷やすようにしましょう。

 一方、発熱は、体内で産生する熱により体温が上昇することです。では、発熱するのは何のためでしょう?発熱は免疫力を高めて、病原菌の増殖を抑えます。では、発熱がみられる疾患についてみてみましょう。まずみなさんが思い浮かぶのは感染症ではないでしょうか。そのほか、悪性腫瘍や膠原病、そして脳出血でも発熱がみられます。特に悪性度が高い腫瘍の場合や大きな血管に炎症がある場合に高い熱がでます。夏に流行する感染症として、特に蚊が運ぶウイルスが問題になります。最近の地球温暖化、そして多くの人が海外を行き来する国際化社会が到来したことにより、海外、とくに熱帯地域の感染症が日本でもみられるようになりました。2014年8月に代々木公園などで確認された、「デング熱」の国内感染は記憶に新しいところです。もう一つご紹介したいのは、「夏型過敏性肺臓炎」という肺の病気です。アレルギー反応によるもので、入院すると症状軽快し、帰宅するとまた悪化します。

 このように、暑い夏だからこそ注意しなければならない高体温、発熱と関連した病気があります。

※この記事は院長が行った講座の内容をまとめたものです。