ラテックスアレルギー
天然ゴムは広く日用品、医療用具として使用されている素材です。そしてラテックスとは、そのゴム製品の原料となる物質です。天然ゴム製手袋に残留するラテックスタンパクにより即時型アレルギー反応がおこります。手袋を装着して数分程度(数時間のこともある)で発症し、全身に広がることがあります。
医療従事者では、ほとんどの症例が天然ゴム手袋でのラテックスアレルゲンへの感作によりおこります。手袋の使用時間が長い職種である手術室勤務者、歯科医、歯科衛生士などで特に頻度が高くなります。症状は、皮膚のかゆみや紅班、じんましんなどであり、より重篤な場合には、鼻水やくしゃみ、眼の刺激、喉のかゆみ、そして息苦しさ、咳、喘鳴などの呼吸器症状を伴い、さらには呼吸困難や血圧低下というアナフィラキシーショックに発展する場合があります。麻酔中、手術中に迅速な対応が必要となった症例も報告されています。
前述した医療従事者に加えて、実験室のテクニシャンや病院の清掃員などもハイリスクグループとなります。またアトピー体質(アトピー性皮膚炎、アレルギー性気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など)をもつ人は、皮膚や粘膜のバリア機能が低い場合にアレルゲンが皮膚から浸透し感作されやすくなりリスクが高くなります。
交差反応による食物アナフィラキシーショックなどが報告されています。ラテックスアレルゲンに感作された人が、特定の食物(主にバナナ、アボカド、クリ、キウイフルーツ)を摂取すると、じんましん、口腔アレルギー症候群、喘息発作、アナフィラキシー、アナフィラキシーショックを起こす場合があり、ラテックス-フルーツ症候群とよばれています。ラテックスアレルギー患者の半数近くにみられます。
ある日突然、以前は食べていたバナナ、アボカド、クリ、キウイフルーツを摂取したら、口の中がかゆい、じんましんが出る、さらにそれ以上の即時型アレルギー症状がおこるような場合には、ラテックスアレルゲンに感作された可能性があります。