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院長日記

インフルエンザ予防接種時の注意点

武本 重毅

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昨日は熊本市医師会地域医療センターの外来当番医でした。厚生労働省からの注意喚起にありますように、今年のインフルエンザは早くから流行が始まっているようです。熊本市でも南区の方で学年閉鎖があったと聞きます。成人ではまだ多くはありませんが、昨日の外来でインフルエンザA型と診断されたのは、いずれもお子さんからの感染でした。

さて、当クリニックでは先月より高齢者施設職員ならびに入所者、そして接客に携わる会社への出張予防接種を始めています。そこでよく尋ねられるのが、妊娠中の予防接種の可否についてです。インフルエンザウイルスのワクチンは不活化ワクチンですので、妊婦さんの時期に関係なく安全に接種することができます。胎児をインフルエンザウイルスから守るためにも積極的な予防接種をお勧めします。

しかし予防接種してはいけない場合があります。ひとつは発熱しているとき、特に37.5℃以上の場合は延期となります。また卵アレルギーをもつ人には接種できません。ワクチン製造の過程で卵の成分が含まれてしまうからです。そして、最後に、これはあまり知られてはいませんが、アレルギー患者、特に食物アレルギーをもつ人に、重篤なアナフィラキシー(アレルギーの全身反応)をおこしたという事例が複数報告されています。先日、ある会社への出張予防接種の際には、前日にレンコンを食べてすぐに走ったら顔が腫れてしまった、という男性がおられ、予防接種を延期しました。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」とよばれ、即時型食物アレルギーの特殊型で、特定の食物摂取と運動などの二次的要因の組み合わせでジンマシンなどのアレルギー症状をきたすものをいい、重篤な場合はショックをきたすとされています。われわれが子供のときには、昼食後は運動場で過すのがあたりまえでしたが、アレルギー患者が増えている現代においては食後2時間は運動を控える必要があると思われます。もちろん、このような経歴がある人には、インフルエンザ予防接種を控えていただいた方がよいでしょう。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。