これまでの研究、そして、これから
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最近、本を読みあさっています。
特に令和元年から2年へ移行する年末年始は、暇さえあれば学びに没頭していました。
どういう本かといいますと、
選択の科学(The Art of Choosing)
シーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar)著/櫻井祐子訳
予想通りに不合理(Predictably Irrational)
ダン・アリエリー(Dan Ariely)著/熊谷淳子訳
ファスト&スロー(Thinking, Fast and Slow)
ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)著/村井章子訳
という
コロンビア大学ビジネススクール特別講義や
行動経済学についての
有名な著書です。
これまで医師を志して40年
医学を学び
医学研究の道を歩んできましたが
人としての生活を営み
全うな人生を歩むためには
多くの知識が不足してしまいました。
簡単に言えば
世間知らずの状態です。
このような状態で還暦を迎えてしまうのは…
さすがにヤバイと
自覚するようになり
経済学、心理学を
独学でマスターしようと始めた次第です。
まず気づいたのは
わたしがこれまで従事してきた研究が
いかに狭い世界であったということです。
わたしは
医学研究の道として
分子生物学から入りました。
細胞の核の中にある
DNA、RNAという遺伝子レベルの実験から始め
次に核の外で
細胞内タンパクのリン酸化を調べ
さらには細胞外
血清中のタンパクについて
測定するようになりました。
これらの結果は
測定値としてはっきりしたものでしたので
だれが見ても客観的に評価できますし
同じ条件で実験すれば簡単に再現できるものでした。
ところが
スタンフォード大学で
社会心理学の博士号をとり
コロンビア大学ビジネススクール教授である
シーナ・アイエンガー
行動経済学研究の
第一人者である
ダン・アリエリー
心理学者にして
2002年にノーベル経済学賞受賞した
ダニエル・カーネマン
といった著者の扱う研究といったら
わたしの今までの考えからは
かけ離れて
大雑把なものです。
このようなことを言うと
失礼なこととは思いますが
とても概念的で
つかみどころがないような
そんな実験のような気がします。
わたしは
これまでの自分自身の研究が
とても特殊なことであることを
知ることになりました。
しかも
わたしが取り組んできたのは
細胞内外の変化と
病気との関係を
あきらかにするというものでしたが
社会心理学や
行動経済学で扱うのは
われわれ人間に共通する習性のようなものです。
「選択」や「直感」のエラー
どうしようもない思い込み
これらがなぜあたり前のように起こるのでしょう。
彼/彼女らは
その実例や実験結果を紹介して
わたし自身の判断が
これまで間違っていたことや
何故あのような決断をしてしまったのかを
教えてくれます。
まさに目からうろこが落ちるのを実感しました。
人間はどこまでも滑稽で、「不合理」なのか。
人はいかに錯覚に陥りやすく、「不合理」な決定をおこなうのか。