Director's blog
院長日記

自殺者の急増に対して医療者として出来ること

武本 重毅

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今月に入り芸能界の渡辺裕之氏(66歳)と上島竜兵氏(61歳)が自殺しました。

お二人ともわたしと同世代であり、何故そうなってしまったのかと考えずにはいられません。

 

新型コロナ禍で世界中がこれまで経験していなかったウイルス感染の脅威にさらされ

生活の制限を強いられるようになりました。

さらに今年2月になって始まったロシアによるウクライナ侵攻により

世界は被害者の痛みと悲しみを共有するようになりました。

そして今

サプライチェーンが滞り、原油など資源供給が制限される中

われわれの生活を襲い始めたのがインフレと世界的な経済危機の兆候です。

 

警視庁によれば今年1-4月の自殺者数は下表のように推移していますが、

冒頭で述べたように5月に入ってから続けて芸能人の自殺が報道されており

今後その数が増えるのではないかと心配です。

令和4年の月別の自殺者数について      
1 自殺者総数          
    合 計 1月 2月 3月 4月
総数   6,753 1,673 1,474 1,914 1,692
  うち男 4,566 1,120 1,002 1,295 1,149
  うち女 2,187 553 472 619 543

 

この自殺者数の増加が新型コロナ禍で失業率と連動しているという報告があります。

英文医学誌「JAMA Open Network」に掲載された横浜市立大学医学研究科・附属病院にて行われた研究成果によれば

2020年度の人口10万人当たりの自殺件数は、2009年度から2019年度までの実績に基づく予測値より、男性で17%、女性で31%増加していました。また、自殺による死亡の増加は同時期の失業率と連動しており、20代女性の自殺率は72%増加していました。

この結果は、新型コロナ禍の影響で、失業率が増加し、社会経済基盤の弱い若年女性を中心に自殺が増加している可能性を示唆しています。

https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20220330horitanobuyuki.html

このような経済危機の兆候は

日本だけのことではなく

世界中の人びとが経験することになり

おそらく今後数年間は続くであろうと思われます。

 

この物価高が進む中で

特に病気の治療を受けておられる患者さまへは

その生活への負担増をできるだけ避けるようにしなければなりません。

 

そこで少しずつですが

私たちのクリニックでは

皆さまの要望に応えようと

院内処方をはじめました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。