Director's blog
院長日記

血管再生(血管新生)

武本 重毅

カテゴリー: 

上肢や下肢虚血疾患を

骨髄を利用して治そうという

再生医療がはじまっています。

わたしが以前勤務していた国立病院機構熊本医療センターでは

全身痲酔下に患者腸骨より50―80ml の骨髄液を採取し

比重遠心法により骨髄単核球を分離して

数十個所の上肢あるいは下肢虚血部位に移植をしていました。

多施設臨床試験を行い移植された患者に明らかな副作用は認めず

良好な結果を得たと報告されています。

 

骨髄に含まれる細胞は大きく二つに分かれ

血球系の細胞

それを支持する間質細胞が存在します。

この骨髄に含まれる間質細胞を培養し

繊維芽細胞様の形態をもってシャーレ上に付着増殖する細胞群を

間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells:MSC)と呼びます。

 

MSC骨や軟骨に分化することは知られていましたが

外胚葉や内胚葉由来の組織細胞へも分化することが報告されています。

またMSCは移植により血管内皮細胞へ分化

新生血管を形成するのみならず

一部は心筋細胞にも分化します。

さらに血管誘導因子である VEGF(血管内皮細胞成長因子: vascular endothelial growth factor)を

多量に分泌します。

 

このような治療を

老化治療として

私たちのクリニックで提供できないかと考えてみました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。