認知症やパーキンソン病発症と腸内環境との関係:その②
老化とは、ひと言で説明すれば「細胞の老化」です。
これは腸が食べ物からの栄養素を十分に吸収できず
免疫力を発揮できない状態に陥っていることを示します。
酸化ストレスは多くの疾患発症への関与が知られています。
近年、腸内細菌が産生する多様な代謝物が、腸管を越えて
宿主の多様な臓器機能に影響を与えていることが明らかになっています。
酸化ストレスは、食・生活習慣の悪化、心理的・肉体的ストレス、老化等により増加しますが、
その結果、活性酸素種によるDNA やタンパク質の酸化的損傷が起こり
心血管疾患・がん・糖尿病・神経変性疾患を誘発します。
活性酸素種(フリーラジカル)は
「体をサビつかせる悪者」ではありますが
ホルモン生成の手助けをしたり
外敵が侵入してきた際に白血球から放出されて敵を全滅させるなど
有用な働きもします。
ところが大量に発生すると
コレステロールや中性脂肪といった脂質を酸化させて
過酸化脂質という有害物質をつくり出し
細胞膜やDNAを傷つけて破壊してしまうのです。
この過酸化脂質が脳細胞の細胞膜内に増えると
アルツハイマー病を引き起こす原因とされているタンパク質「アミロイドβタンパク」が
脳細胞の表面に集積しやすくなります。
そしてパーキンソン病は
中脳の黒質にあるドパミン産生細胞に
レビー小体と呼ばれるα-シヌクレイン凝集体が異常凝集することによって引き起こされます。
そのα-シヌクレイン凝集体は
腸管神経叢から始まり中脳黒質まで上行する可能性が示されてきました。
α-シヌクレイン凝集体はプリオンのように
正常のα-シヌクレインを異常凝集させて異常を伝播させることが明らかにされています。
パーキンソン病患者ではα-シヌクレイン凝集体が迷走神経背側核から中脳黒質に向かって上行するのです。
便秘
レム睡眠行動障害
うつが
パーキンソン病の運動症状が始まるより前
それぞれ20年、10年、5年前から起こることが知られており
これはα-シヌクレイン凝集体が迷走神経背側核から青斑核に向かって上行する現象と一致しています。
加えて、パーキンソン病患者の腸管神経叢には
高い頻度でα-シヌクレイン凝集体が蓄積していることが知られています。
このように
腸の状態がよければ健康を維持することができ
老化を防ぐことにもつながります。
腸が元気なら脳を元気にすることにつながり
認知症予防、そしてパーキンソン病予防にも有効なのです。
私たちのクリニックでは
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)点滴治療によりサーチュイン酵素を介して
細胞レベル・エピゲノムレベル・ミトコンドリアレベルで修復し
水素ガス吸入療法で活性酸素種を不活化し
そしてヒト間葉系幹細胞培養上清療法で免疫異常を抑え、腸内環境を整え、神経細胞を修復することで
認知症、パーキンソン病など脳神経障害に対する効果を期待することができます。