患者さんに寄り添いながら肝に銘じること
今回は
わたしのかかりつけ医としての「心構え」についての話です。
この2年の間に
外来患者数が増えました。
私たちのクリニックには
他のところで嫌な思いをしたことがあったり
今までいくつもの病院で治療を受けても治らなかったり
これまで全く治療を受けたことがなかった人々が
足を運んできてくれています。
わたしは
患者さんの声に耳を聞きながら
時には1時間以上話をしながら
クリニックを出る時には笑顔になって帰る皆さんと
会うのが楽しみです。
その一方で
患者さん一人一人の病像はさまざまであり
それぞれが独立した病態であるということを
常に頭の中で認識していなければなりません。
以前のように限られた疾患を診療していた時とはちがって
今では可能な限りあらゆる疾患を
総合的に診る内科医として治療させていただいているからです。
そのような日常は
認識バイアスとの葛藤の連続です。
バイアスによる思考の誤りは
診断エラー(不合理)に結びついてしまいます。
不合理性を理解することは
毎日の行動と決断に役立ち
わたしたちを取り巻く状況や
そこで示される選択肢が
どのようにつくられているかを理解するうえでも重要になります。
わたしたちは不合理なだけでなく
「予想どおりに不合理」なのです。
つまり
不合理性はいつも同じように起こり
何度も繰り返されます。
そして
わたしたちが
いかに「予想どおりに不合理」かを知ることは
よりよい決断をしたり
生活を改善したりするための
出発点になります。
また
わたしたちは
身のまわりのものを
常にほかのものとの関係でとらえています。
すべてが相対的なのです。
しかし
わたしたちは
比べやすいものだけを一所懸命に比べて
比べにくいものは無視する傾向があります。
どのようにすればよいのでしょうか。
相対性の連鎖を断ち切りましょう。
刷り込み・アンカリングから抜け出しましょう。
自分が冷静な状態と熱くなった状態を理解しましょう。
自分に先入観があることを自覚しましょう。
無用の選択肢を追い求めたくなる不合理な衝動から自由になりましょう。
決断しないことによる影響も考えましょう。
肯定的に予測しましょう。
私は医師として
患者さんを治療する側であると同時に
患者さんの家族の一員であるという
両方の立場を考えながら
患者さんと接するよう心がけています。