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院長日記

ニコチン酸はニコチンとは違います

武本 重毅

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先日、新型コロナウイルスワクチンの6回目の接種に来た高齢者の方々が

私たちが制作したYouTubeを見ながら接種後の待ち時間を過ごしていました。

すると

ニコチン酸というのはニコチンと同じだろう」

という声が聞えてきました。

ニコチン酸ニコチンは、両方ともニコチンという言葉が含まれていますが、まったく異なる物質です。
 
 
ニコチン酸は、ビタミンB3の一種で、別名をナイアシンとも呼ばれます。
 
私たちの体内でエネルギーの生産脂肪酸・コレステロールの代謝に関与しています。
 
また、ニコチン酸は日常の食事から摂取することができ
 
ビタミン欠乏症であるペラグラを予防するためのサプリメントや強化食品としても使用されます。
 
 
一方、ニコチンは、タバコの主要な成分であり
 
タバコの煙を吸うことで体内に取り込まれます。
 
ニコチン中枢神経系に作用し、快感やストレス緩和などの影響をもたらします。
 
ニコチン依存性があり
 
タバコの喫煙やニコチン製品の使用によって依存症が引き起こされる可能性があります。
 

ニコチン酸の発見は

1867年にHuberによってタバコに含まれる有害物質のニコチンを硝酸で酸化して

ニコチン酸を精製したことに始まります。

ニコチンを酸化して得られたのでニコチン酸と命名されました。

ニコチンは、化学式C10H14N2の、タバコに天然に含まれている成分です。

ニコチンは、タバコの根で生合成され、葉に蓄積されます。

ニコチンは、タバコに含まれていることが知られていますが

トマトやナス、ピーマン、ジャガイモなどの他のナス科の植物にも含まれています(タバコに比べると微量)。

 

ニコチンは体内に入ると、細胞間のメッセージを伝える化学物質であるアセチルコリンのように作用します。

このようなニコチンの作用は

細胞の表面にあるアセチルコリン受容体にニコチンが結合することで生じます。

 

ニコチンには刺激作用抑制作用の両面があり

精神を覚醒させるのみならず、筋肉を弛緩させるよう機能します。

また、ニコチン中枢神経系の受容体であるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)に働きかけ

情動や認知に影響を与える情報伝達物質を放出させます。

特に報酬系と呼ばれる神経回路に作用して心地よさをもたらします(脳内のドーパミン系を活性化)。

 

ニコチンは、アルカロイドの一種で、神経毒性の強い猛毒です。

化学物質としては毒物に指定されています。

たばこの葉に含まれており、喫煙によって煙から体内に取り込まれます。

血液中のニコチンは急速に全身に広がります。

また、強い血管収縮作用があるため毛細血管を収縮させ血圧を上昇させます。

中毒性があり、子供が誤ってたばこの葉を食べたりすると中毒を起こし、死に至ることもあります。

ニコチンそのものには発がん性は認められていませんが

ニコチンが分解・代謝されることによって生み出されるニトロソアミン類は発がん性があることが知られています。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。