歯科治療と感染性心内膜炎
前回は今年1月の院長日記に書きました。
その続編です。
感染性心内膜炎は
何らかの基礎心疾患を有する例で菌血症(血液中に細菌が検出される状態)を誘発する感染症を合併し
あるいは菌血症を生じるような手技や小処置の後に持続する不明熱という形で発症します。
菌血症を起こす歯科処置としては
出血を伴ったするような侵襲的な歯科処置(抜歯など)があります。
また、出血を伴う口腔外科処置やインプラント治療、歯石の除去(スケーリング)なども
菌血症を誘発する処置として認識されています。
一方で、日常生活における咀嚼やブラッシングでも出血することがあるため
菌血症が引き起こされる可能性があります。
口腔内の衛生状態が悪い場合はより菌血症が引き起こされやすいと考えられています。
したがって、日常の口腔衛生状態の管理は菌血症の発症を抑制するうえできわめて重要です。
う蝕や歯周病に罹患して菌血症を引き起こす状態になっていても
自覚症状に乏しいため歯科受診されず
未治療のまま放置されている症例も存在するため
注意が必要です。
菌血症が誘発される状態になると
口腔に存在する感染性心内膜炎の原因菌が血液中に入る環境が整うことになります。