長期間十分に栄養を摂っていない時の体重減少、倦怠感、ふらつきはビタミンB1欠乏
長期にわたり低栄養状態にあった人への再栄養の際にはリフィーディング症候群をきたさないよう注意が必要です。
再栄養が経口、経管、経静脈のいずれでもリフィーディング症候群は起こります。
低栄養状態では代謝状態は異化(栄養素を分解してエネルギーを取り入れる)に傾きますが、再栄養時にはインスリン分泌の増加等により代謝は同化(エネルギーを使って複雑な物質を合成する)に切り替わります。
これに伴い体液・電解質のバランスが大幅に変化します。
増加した循環血漿量に対する心筋の不適応
インスリン増加に伴う水、糖、K、P、Mgの細胞内流入による電解質異常
ビタミンB1欠乏が起こりえます。
もっとひどくなれば亜急性という経過で意識障害、眼振、腱反射消失を呈し、頭部MRIのFLAIR像で両視床内側に高信号を認めるWernicke脳症が疑われます。
Wernicke脳症の3徴は、意識障害、眼球運動障害、運動失調ですが、すべて揃わないこともあります。
MRIが施行されますが、本疾患の診断には画像検査は必須ではなく、それによる治療の遅れは避けなければなりません。
妊娠悪阻、アルコール依存症、血液透析、消化管疾患などによる食事摂取量の低下、代謝の亢進、排出の亢進が原因となります。
高齢者の食欲不振、倦怠感、運動失調が見られたら疑ってみましょう。