ビタミンB1の重要性
患者さまの何人かが、お尋ねになります。
「にんにく注射はありますか?」
わたしは何のことかわからず、「そんな医学的に認められていない自由診療は行なっておりません」と返答していました。
しかし最近になって、この「にんにく注射」が「ビタミンB1注射」のことを指していることを知りました。
確かに「お酒好き」な私たちにとって、ビタミンB1は必要です。
何故なら、
偏食
過労
アルコール常用
が、ビタミンB1欠乏による「脚気」の原因だからです。
ビタミンB1には
炭水化物をエネルギーに変換する際の補酵素としての作用と
神経機能を正常に保つ作用があります。
このためビタミンB1が欠乏すると
多発性末梢神経障害による末梢神経症状が現れたり、循環動態が悪化して心悸亢進、呼吸困難などが現れる「脚気」
意識障害、眼球運動障害、運動失調(失調性歩行)などをきたす「ウェルニッケ脳症」
ピルビン酸がアセチルCoAに変換されず、血液中に乳酸が著しく増加して、意識障害をきたして昏睡に至る「乳酸アシドーシス」
を発症します。
治療としては、ビタミンB1を投与します。
特に「ウェルニッケ脳症」を疑う状況であれば、ビタミンB1が低下している検査結果を待たずに、すぐに治療を開始しなければなりません。
私たちのクリニックでは
フルスルチアミン塩酸塩(アリナミンF)の注射とセトチアミン塩酸塩水和物(ベストン)の錠剤を準備しています。
注意しなければならないこととして、
「ウェルニッケ脳症」を疑う段階で、ビタミンB1投与前に
ブドウ糖を投与すると、ビタミンB1の消費を招きますので、病態をさらに悪化させることになります。
また、ビタミンB1の過剰症については
大量のチアミン塩酸塩を慢性的に摂取することによる「頭痛」や「不眠」などの症状が報告されています。