Director's blog
院長日記

なぜATLは日本など限られた地域で多いのか?

武本 重毅

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HTLV-1関連疾患には、長年の大きな謎があります。

それは、

「なぜATLは、日本など限られた地域で多いのか?」

という問題です。

これまでは、

  • 母乳による母子感染
  • 地域集積
  • ウイルス伝播

が主な説明とされてきました。

しかし、それだけでは、

  • なぜ数十年後に発症するのか
  • なぜ高齢者で多いのか
  • なぜ地域差が大きいのか

を十分に説明できません。


私たちの新しい考え方

私たちの研究では、

ATL発症には、

  • HTLV-1持続感染
  • 免疫老化
  • 慢性炎症
  • ミトコンドリア疲弊
  • エピゲノム異常
  • 抗アポトーシス
  • CD30システム

が長期間かけて積み重なることが重要だと考えています。


Geography × Aging × Inflammation

さらに近年、

人種・地域・食事・腸内細菌が、

  • 生物学的年齢
  • 免疫状態
  • 慢性炎症
  • 代謝
  • ミトコンドリア機能

に大きく影響することが報告されました。

つまり、

「どこで生きるか」

そのものが、

長年かけて免疫老化や発がんリスクを変える可能性があるのです。


HTLV-1は「時間を利用するウイルス」

HTLV-1は乳幼児期に感染し、

数十年間、

宿主の免疫・炎症・代謝システムと共存します。

その過程で、

  • inflammaging
  • state persistence
  • immune exhaustion

が徐々に形成され、

最終的にATLへ進行する可能性があります。


新しい疾患モデル

つまりATLは、

「ウイルス感染症」

ではなく、

「地理・老化・慢性炎症・免疫進化が交差する疾患」

として理解できるかもしれません。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。