水素療法は「回復力医療」の一要素
近年、水素医学は大きく発展し、基礎研究だけでなく、虚血再灌流障害、心肺停止後症候群、透析関連医療などを対象とした臨床研究も進められています。さらに、山口大学水素トランスレーショナル医療研究センター(H2TREC)の設立は、水素医学が「研究」から「社会実装」へと歩みを進めていることを象徴しています。
私はこうした流れを大変心強く感じています。
一方で、水素療法だけですべての病気や老化を説明したり、解決したりできるとは考えていません。
私が目指しているのは、
「エビデンスに基づく回復力医療(Evidence-based Recovery Medicine)」
という考え方です。
病気の背景には、
- 慢性炎症
- 酸化ストレス
- ミトコンドリア機能低下
- 免疫や代謝の乱れ
- 睡眠・生活習慣の破綻
など、多くの要因が複雑に関わっています。
その中で水素は、
過剰な酸化ストレスから細胞を守り、本来備わっている回復力を支える一つの選択肢
として期待されます。近年のレビューでも、水素は酸化ストレスや炎症シグナル、ミトコンドリア機能などに関与する可能性が整理されていますが、疾患ごとの有効性や最適な投与法については、今後さらに質の高い臨床研究が必要です。
私の臨床での位置づけ
私は現在、
アンチエイジング3本の矢®
という考え方で、
- NMN:細胞修復シグナル(NAD⁺代謝)を支える
- 5-ALA:ミトコンドリアのエネルギー産生を支える
- 水素:過剰な酸化ストレスから細胞を守る
という、それぞれ異なる役割を持つアプローチを組み合わせています。
これらは互いに競合するものではなく、
細胞が本来持つ「回復する力」を支えるための、相補的なアプローチです。
私たちが目指す未来
これからの医療は、
病気を診る医療から、
回復力を支える医療へ。
そして、
経験だけに頼る医療ではなく、
エビデンスに基づく回復力医療へ。
水素療法も、その新しい医療を構成する重要な一要素として、最新の科学的知見を踏まえながら、適切に活用していきたいと考えています。

