Director's blog
院長日記

Episode 2: Reality なぜ今、Longevityが必要なのか

武本 重毅

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世界は「治療」から「予防」、そして「回復力」へ向かっている ―

世界はいま、大きな転換点を迎えています。

この100年で医療は飛躍的に進歩し、多くの感染症を克服し、がんや心臓病の治療も大きく進化しました。

その結果、人類はかつてないほど長く生きられる時代になりました。

しかし、その成功が、新しい課題を生み出しています。

それが超高齢社会です。

世界では高齢化が急速に進み、日本はその最前線に立っています。

平均寿命は延び続けていますが、それに伴い、認知症、糖尿病、心血管疾患、がん、フレイルなど、加齢に関連する病気も増え続けています。

医療費や介護費の増加は、個人だけでなく、社会全体にとって大きな課題となっています。

さらに、多くの人が人生の最後の約10年間を、何らかの慢性疾患や身体機能の低下とともに過ごしていることも分かってきました。

つまり、

「長生きすること」と「元気に生きること」は、同じではない。

この現実が、世界の医学を大きく変え始めています。

これまでの医療は、病気を一つずつ診断し、一つずつ治療することを中心に発展してきました。

もちろん、その考え方はこれからも重要です。

しかし現在は、それだけでは十分ではないことが明らかになってきました。

なぜなら、多くの慢性疾患は、それぞれ別々に生まれるのではなく、「老化」という共通の基盤の上に発症してくるからです。

そこで世界の研究者たちは、新しい問いを立てました。

「病気を治療するだけでなく、老化そのものに介入できないだろうか。」

この考え方から生まれたのが、Longevity Medicine(長寿医療)です。

Longevity医療の目的は、単に寿命を延ばすことではありません。

健康で、自分らしく生活できる時間をできるだけ長く保つこと。

つまり、Health Span(健康寿命)を延ばすことです。

そして、そのためには、病気になってから治療するだけでなく、病気になりにくい身体を育てるという新しい視点が必要になります。

私たちは、この変化を「治療の時代の終わり」とは考えていません。

むしろ、

治療に加えて、回復力を育てる医療が始まった。

そう考えています。

これからの医療は、

「病気と闘う医療」だけではなく、

人生を支える医療へと進化していくでしょう。

そして、その中心にあるのが、人が本来持っている回復する力です。

Longevityとは、長生きする技術ではありません。

回復する力を育てる医学。

それが、私たちの考える未来の医療です。

Episode 2

The future of medicine begins before disease.

次回予告
Episode 3|生物学的年齢とは何か

私たちは「何歳か」だけで老いるのでしょうか。それとも、「体が何歳か」という別の年齢があるのでしょうか。次回は、Longevity医療の基盤となる生物学的年齢(Biological Age)についてご紹介します。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。