新型コロナウイルス感染下で限界がみえてきた民主主義(2)
新型コロナウイルス感染は依然として勢いがおとろえず、この冬の到来とともに第3波が日本全国を襲った。
感染者増加に歯止めがかからず、重症者数ならびに死亡者数も増加し、とくに都市部の医療体制はひっ迫している。
世界では、この新型コロナウイルスに対するワクチン供給が始まっており、まず英国で接種が始まった。
まずは、その経緯を見守ってみたい。なぜなら、わたしは今回のワクチンにいくつかの疑問をいだいている。まず、その効果について―ウイルス自体を排除できるのかどうか。そして、しかも強い免疫反応をおこさずに。
この問題となっているウイルス(COVID-19)は、もともとは風邪ウイルスである。これまで風邪ウイルスに対するワクチンで、完全にウイルス感染を阻止したものがあったであろうか。ウイルス感染を完全に制圧できた有名なワクチンは、天然痘ワクチンである。あるいは生涯免疫を獲得できるようなMR(麻疹、風疹)ワクチンなども非常に有効なのは皆知っている。しかし、インフルエンザワクチンのようであれば、予防接種しても発症してしまう。
また、重症化になるのは高齢者や持病をもっている人々であるが、同じワクチン接種で、若い健康な人々と同じような効果を得ることができるのだろうか。
そして、重症化はウイルス感染の後におこる強い免疫反応がひきおこす。ワクチンはいくつかの会社から生産・提供されるが、そのウイルスに対する効果だけでなく、接種後の免疫反応に違いはないのだろうか。
たまたまワクチン接種前後に本当のウイルスが感染することで、相加相乗効果により免疫反応がより強く発現することはないのだろうか。
あるいはウイルスに一旦感染することで免疫反応がおこり、抗体をもっている人に、そのワクチンを接種することで、強い免疫反応や異常な免疫反応がおきないのだろうか。
インフルエンザウイルスの場合、
今のように高齢者施設や移植や化学療法など免疫低下患者の病棟での感染をコントロールできるようになったのは、タミフルなど特効薬が開発され、その予防投与が可能となったからである。新型コロナウイルスの場合も、ワクチンで上手くいかなかった場合を考え、その特効薬を早く手に入れる必要がある。
しかし、今のところ、製薬会社が取り組んでいるのは、
別の感染症のためにつくられた薬が効くかどうか試すことである。確かに急ぐ必要があるし、一から開発を始めたのでは研究にいくらかかるのかわからない。
ということで、
実際にアメリカ合衆国でFDA(食品医薬品局)が認可したレムデシビルという薬が、日本でも患者に投与された。費用は一人当たり約25万円。しかし実際の効果はどうだったのだろうか。WHO(世界保健機構)は、効果が認められないとして、症状の軽重にかかわらず投与しないように勧告した。
ノーベル賞受賞者による「不道徳な見えざる手 PHISING FOR PHOOLS」という本によれば、
医薬品は(カモ)釣り師たちの活躍の場になっている。一般的な話として、FDAの医薬品承認基準は、短期の便益をもつ薬に有利となっている。つまり同じ基準は、長期の(ひょっとするとかなり深刻な)副作用をもつ薬を通してしまう。FDAは製薬会社に対して、試験の実施と報告手法に少なくとも5つの自由度を与えており、このおかげで、有効性でも安全性でもギリギリのところの薬も承認されてしまうことになる。通常は何年も、その有効性と安全性についての試験がおこなわれ、やっと提供されるべきワクチンや治療薬が、確かにパンデミックという緊急事態ではあるが、先を急いで実際に投与され始めている。どのような危険性があるのかも明らかにならないうちに...。
さらに詳しい内容については、わたしたちのYouTube「毅貴会ちゃんねる」で話そうと思う。
日本でも来年春には、まず医療従事者や高齢者から、無料でワクチン接種を開始するらしい。
しかし先に述べたように、接種された医療従事者にどのような反応がおこるのか全くわかっていない。万が一、最前線ではたらく者たちが、その副作用でバタバタと倒れるようなことになれば、日本の医療は完全に崩壊してしまう。複数の会社で開発された異なるワクチンのうち、日本人に効果的なワクチンがどれかもわかっていない。
いつもわれわれ医療従事者は、患者に対して、インフォームドコンセントをおこなう。投薬の効果と副作用を説明し、もし何らかの異常があれば対処する、もし治験薬で高度障害が出れば製薬会社や国がその後の治療や生活を保障する、といった説明をおこなう。そして、受ける側には、それを拒否し、代替の治療薬を選ぶ権利がある。
今回のワクチン接種、はたして、われわれの意見は反映されるのであろうか。