Director's blog
院長日記

老化は疾病ー「老いなき世界(LIFE SPAN)」その15:サーチュインを活性化させるレスベラトロール

武本 重毅

2002年、巷では抗酸化物質が一大ブームになっていました。

結局は一部で言われていたような

アンチエイジング薬でも

万能健康薬でも

なかったわけですが

このことはまだ明らかになっていませんでした。

 

その抗酸化物質の1つがレスベラトロールだったのです。

これは、様々な植物がストレス時に生み出す天然の分子であり

赤ワインにも含まれています。

いわゆる「フレンチ•パラドックス」も

レスベラトロールで説明できるのではないかと

指摘する研究者もわずかながらにいました。

「フレンチ・パラドックス」とは

フランスの食事にはバターやチーズなどの飽和脂肪がかなり多いにもかかわらず

フランス人の心疾患罹患率が低いことを指します。

 

そしてレスベラトロールに関する実験を行ったところ

信じがたいものを目の当たりにしました。

レスベラトロール

数十種類の病気ー

種々のがん

心臓病

脳卒中

心臓発作

神経変性

炎症性疾患

創傷治癒等

に対して予防効果を発揮したのです。

 

カロリー制限と同じ効果を発揮し

空腹なしに寿命を延ばせるものが見つかってみたら

それが赤ワインの瓶の中に入っていたというのですから...

まるでジョークのオチみたいな話です。

 

薬としては限界があっても

レスベラトロールの価値は大きいのです。

空腹にならずともカロリー制限のメリットを

1種類の分子で得ることができるという

最初の重要な証拠を与えてくれたからです。

 

レスベラトロールを通じて

研究者たちがもう一つ学んだのは

サーチュインは化学物質で活性化できるということでした。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。