Director's blog
院長日記

NMN文献その4「NMN治療は中枢神経系を若返らせる」

武本 重毅

カテゴリー: 

今回紹介するのは

今年の超一流医科学雑誌「Nature Communications」に掲載されたばかりの論文です。

Restoring nuclear entry of Sirtuin 2 in oligodendrocyte progenitor cells promotes remyelination during ageing.

Ma XR, Zhu X, Xiao Y, Gu HM, Zheng SS, Li L, Wang F, Dong ZJ, Wang DX, Wu Y, Yang C, Jiang W, Yao K, Yin Y, Zhang Y, Peng C, Gao L, Meng Z, Hu Z, Liu C, Li L, Chen HZ, Shu Y, Ju Z, Zhao JW.Nat Commun. 2022 Mar 9;13(1):1225. doi: 10.1038/s41467-022-28844-1.PMID: 35264567

 

神経細胞にとって

ミエリン(髄鞘)は軸索の機能発揮と長期生存に必要なものとされています。

したがって

髄鞘形成

中枢神経系の活動にとって

必要不可欠のものです。

 

人間の中枢神経系では

加齢にともない

白質部分が(灰白質と比べ)

より萎縮していきます。

これが

中枢神経系の老化なのです。

 

加齢が進むと

オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)前駆細胞の機能低下により

再ミエリン化の効率も落ちていきます。

 

ミエリン化再ミエリン化

中心的プレイヤーとして

オリゴデンドロサイト前駆細胞

中枢神経系に広く分布しています。

 

そのオリゴデンドロサイト前駆細胞老化

サーチュインのはたらきによって

調整されています。

 

今回の研究では

 

サーチュイン2

それにともなうNADレベルの低下という

老化オリゴデンドロサイト前駆細胞の特徴を明らかにし

 

NMNの補充により

オリゴデンドロサイト前駆細胞での

サーチュイン2の発現と核内移行を

復活させ

 

結果として

老化オリゴデンドロサイト前駆細胞

新しいミエリンを産生する能力を取り戻すことで

老化した中枢神経系

若返らせることに成功しました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。