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院長日記

軽度認知障害(MCI)かもしれないと思ったら その4:補体タンパク質C3

武本 重毅

ミクログリア

貪食やT 細胞への抗原提示を行い、神経免疫に寄与しています。

また、神経発達時に余剰のニューロンやシナプスの除去に関与し

脳組織の恒常性を保つと考えられています。

そして成熟してからは認知機能に関与しています。

 

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)においては

ミクログリアがプラークや異常タウタンパクを除去すると同時に

正常ニューロンやシナプスに傷害を及ぼすことにより

認知機能低下を導いている可能性が示唆されており

特に前シナプス部位の異常が報告されています。

 

その機構として

ミクログリア

補体を使用してシナプスへの接触後

そのシナプス除去をして記憶を消去し修飾しているようです。

 

その補体の中でもC1qC3ミクログリアが使用していることが明らかとなりました。

アルツハイマー病のマウスモデルでは

プラーク形成前のシナプスでC1q が増加することが示され

アミロイドβ タンパク質のオリゴマー投与によりC1q が増加することが明らかになりました。

さらに,アミロイドβ タンパク質のオリゴマーを投与することで

急性モデルでミクログリアC3 受容体を介してシナプスを除去することが示されました。

逆にアルツハイマー病動物モデルで C3をノックアウすると

シナプスの喪失が少なくなり

行動も改善しました。

また、記憶の消失にもC1qC3 が関与していることが明らかとなりました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。