2022年度 聚楽内科クリニックホームページ「院長日記」人気ベスト10
2022年度の1年間で私たちクリニックの記事を閲覧していただいた回数は33,497と増加傾向にあります。
特に今年に入ってから大きく伸びているようです。
サイト内順位 |
院長日記順位 |
ページカテゴリ |
4 |
1 |
ステロイド療法中のインフルエンザ予防接種 |
9 |
2 |
今注目の糖尿病治療薬:SGLT2阻害薬とイメグリミン塩酸塩 |
12 |
3 |
NMNがはたらくミトコンドリア その7:糖尿病治療薬で若返り |
16 |
4 |
コロナ感染し大腸憩室炎が悪化して九死に一生を得た患者 |
19 |
5 |
熊本で発見されたエリスロポエチン |
20 |
6 |
3. 消化管手術と貧血との関係について |
22 |
7 |
人生の極意は「輗軏(げいげつ」一つを手に入れることにある 論語【為政篇】 |
26 |
8 |
自己免疫疾患について、患者の苦悩について |
32 |
9 |
化粧品の安全性問題:食物アレルギー? |
33 |
10 |
NMNがはたらくミトコンドリア その8:新しい糖尿病治療薬 |
今回は、その中の第1位から第4位までを再度ご紹介しましょう。
第1位
ステロイド療法中のインフルエンザ予防接種
2019.10.25
カテゴリー: 日記, 看護学生Q&A, 未病の段階で治す, 患者からのQ&A
ステロイド内服治療を受けている女性がインフルエンザ予防接種を受けにきました。内容をみると、内服量を漸減して、まだプレドニン20mg/日を内服中です。
ステロイドは、免疫反応を低下させるため、アレルギーや膠原病の治療薬として用いられます。リンパ系腫瘍の治療薬としても他の抗がん剤と一緒に投与されます。ただし、免疫力低下による易感染性、代謝作用による糖尿病・高脂血症・肥満、高血圧、骨粗鬆症、胃粘膜障害、不眠やうつなどの精神症状という副作用に注意しながら、ステロイド療法はおこなわれなければなりません。
ステロイド療法中に、生ワクチンは副作用が強くでるためもちろん接種できませんが、不活化ワクチンはどうなのでしょう。副作用の点からいえば、特に問題ありません。しかしながら、ワクチンとしての効果はいかがなものでしょうか。ワクチンが届ける情報が免疫系細胞に十分に伝わりインフルエンザウイルスに対する抗体を産生されるという過程を、ステロイドが抑制してしまうと考えられます。特にステロイド投与量として、プレドニン20mg/日内服している状態では、ワクチンの効果は期待できないと考えてよいでしょう。
その一方で、ステロイド内服治療中の免疫抑制状態というのは、インフルエンザウイルスに感染しやすい状態にあるともいえます。ステロイド内服治療は、急にやめるとリバウンドにより症状が悪化してしまいますので、徐々に投与量を減らしていく、つまり漸減していく必要があります。プレドニン量として何mgまで減らせばワクチン接種の効果が通常のレベルまで期待できるのか、悩ましいところですが、文献など調べてみますと、5mg/日の状態ではワクチン接種が推奨されているようです。
第2位
今注目の糖尿病治療薬:SGLT2阻害薬とイメグリミン塩酸塩
2022.02.16
今や糖尿病治療薬は単に血糖値を下げるためだけに使われるのではなく、更なる効果を期待されるものが処方できるようになりました。
その中で特にわたしが注目している薬が、スーグラやフォシーガなどSGLT2阻害薬とツイミーグ(イメグリミン塩酸塩)です。
まずSGLT2阻害薬について説明しましょう。
SGLTとは、体内でグルコース(ブドウ糖)とナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む役割を担うタンパクです。その中で、SGLT2だけは腎臓の近位尿細管に限定的に存在しており、尿中に排泄したグルコースを再吸収するはたらきがあります。
健康な人では、そのはたらきにより、尿糖として排泄されることはありません。尿糖として排泄されるのは、SGLT2の再吸収するはたらきの限界を超えた高血糖状態のときです。そして、糖尿病ではSGLT2の発現が増加していることがわかっています。つまり、より高血糖状態をつくり出しているわけです。
そこでSGLT2阻害薬を使用すると、近位尿細管からのグルコース再吸収が抑えられ、その分だけ尿糖が増え、高血糖が改善されるというわけです。
SGLT2阻害薬の効果は、それだけではありません。
体重が減少し、血圧が低下し、脂質異常が改善するといわれています。さらには、慢性心不全や慢性腎臓病にも効果があり、血液透析の導入を回避できるようになるのではないかと期待されています。
次にツイミーグ(イメグリミン塩酸塩)についてです。
これは、既存の薬とは異なる構造と、2つの血糖降下作用メカニズムをもつ、新しいクラスの経口血糖降下薬です。これらの作用にはミトコンドリアを介した各種作用が関係していると推定されており、まだ糖尿病専門医の間では半信半疑なところがあるようですが、実はこのメカニズムこそ、わたしが興味をもって服用(聚楽内科クリニックで販売)しているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の作用により活性化される若返りの一部なのです。
NMNを内服すると、体内でNAD+へと変化し、サーチュインタンパクを活性化することで人間の老化に伴う変化を改善することが知られています。その中には膵臓からのインスリン分泌の改善や肝臓での糖代謝改善、そして筋肉増強・脂肪減少によるインスリン作用向上などが含まれています。
すなわちミトコンドリアを介しての若返り(老化治療)にはたらきかけて、老化にともなう糖尿病発症を予防し治療するという薬になります。
(作用機序はツイミーグパンフレットならびに製薬会社ホームページより引用)
私たち聚楽内科クリニックでは、このように老化予防につながるような治療を通じて、皆さまの健康寿命に貢献していきたいと考えています。
第3位
NMNがはたらくミトコンドリア その7:糖尿病治療薬で若返り
2022.11.26
糖尿病治療薬の1つ
メトホルミンを摂取した場合には
カロリー制限に似た効果が現れます。
それはミトコンドリアの
代謝反応を制限する方向に働きます。
ミトコンドリアは
「細胞の発電所」ともいわれ
ブドウ糖などをエネルギーに変換する仕事をしていますが
メトホルミンには
このプロセスを遅らせる作用があるのです。
すると
AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)が活性化します。
AMPKは酵素の1種で
エネルギー量が低下したときに
ミトコンドリアの機能を回復させる機能を持ちます。
メトホルミンはSIRT1の活性も高めます。
他にも
がん細胞の代謝を抑えたり
ミトコンドリアの数を増やしたりする
効果が明らかになっています。
ミトコンドリアの機能低下を補うために
細胞がミトコンドリアをより多く生成しようとするためのようです。
このように
メトホルミンによる糖尿病治療は
健康長寿をもたらす可能性があります。
そして最近
もっと健康長寿に貢献するのではと期待される
糖尿病治療薬を使えるようになりました。
次回は
私たちのクリニックで
複数の患者さん達に処方して高評価を得ている
ツイミーグについて、ご紹介しましょう。
第4位
コロナ感染し大腸憩室炎が悪化して九死に一生を得た患者
2023.01.17
実はわたし
土曜日は一日朝から夕方まで
街中にある病院で外来診療しています。
嶋田病院という知る人ぞ知る病院です。
現理事長と友人になり、それぞれの父親同士も友人だったのが縁で
3年前から手伝うようになりました。
今では一日に25〜30人の患者さまと対面し
いつのまにか250人ほどのかかりつけ医になっています。
そのような中では
いろんなドラマチックな体験談を共有させていただくことが少なくありません。
その一つをご紹介しましょう。
先日から院長日記でも取り上げていますように
新型コロナウイルス感染の第8波は猛威を振るい
感染者数増加もさることながら死者数の増加が半端なく
日本の大きな問題となっています。
先週外来受診した男性は
生活習慣病治療のため通院しており
わたしは以前から口を酸っぱくして
食生活の改善と運動療法の必要性を説いていました。
つまり
コロナ感染により重症化する因子をいくつかもっていたのです。
その彼が先日スッキリした顔つきで(見た瞬間に変わったと感じました)
わたしの診療室に入ってきました。
そして知ったのは
生命を手放しかけたが、幸運にもわたしの友人たちが手術してくれて
一命を取り留めたという話です。
昨年末、彼は新型コロナウイルスに感染し
自宅療養を始めました。
その2日後からお腹の激痛が出現したため救急車を呼んだそうです。
しかし今のような医療状況ですから
新型コロナウイルス感染者というだけで
たらい回しになり救急車の中で2時間も走り続けたそうです。
そして、やっと手を差し伸べてくれたのが熊本中央病院でした。
彼は緊急手術となり
人工肛門も設置して
無事に社会復帰することが出来たのでした。
その手術を引き受けてくれたのが
わたしの友人だったのです。
術後も毎日彼の顔を見に病室に来てくれたそうです。
そのことを聞いて
わたし自身
これまでの出会いに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
その彼ですが
今度は人工肛門を閉じるために
本気で食事療法と運動に取り組んでいます。