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院長日記

新型コロナウイルス感染症について説明します(新型コロナウイルス感染症診療の手引き第4.1版より

武本 重毅

【感染経路】

飛沫感染が主体と考えられ、換気の悪い環境では、咳やくしゃみがなくても感染します。

ウイルスを含む飛沫などにより汚染された環境表面からの接触感染もあります。

 

【潜伏期・感染可能期間】

潜伏期間は1~14日間であり、曝露から5日程度で発症することが多いようです。

感染可能期間は発症2日前から発症後7~10日間程度と考えられています。

 

臨床像

初期症状はインフルエンザや感冒に似ており、この時期にこれらと区別することは困難です。

頻度が高い症状は

発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難で、

味覚障害(17.1%)、嗅覚障害(15.1%)、下痢(約10%)もみられます。

 

入院患者のうち

酸素投与を要した症例が30%、

人工呼吸管理やECMOによる集中管理を要した症例が9%であり、

このうち7%が死亡しました。

 

重症化のリスク因子

慢性腎臓病

肝疾患

肥満

脂質異常症

高血圧

糖尿病

悪性腫瘍を有する症例

固形臓器移植後の免疫不全

そして65歳以上の高齢者や喫煙者は

重症化する割合が高い傾向にあります。

また心疾患

慢性肺疾患

脳血管障害

慢性腎臓病を有する症例

特に60歳以上の基礎疾患のある患者は

死亡する割合が高い傾向にあり、

重症化因子と死亡因子は異なる可能性があります。

 

合併症

呼吸不全:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

心血管系:急性期の不整脈、急性心障害、ショック、心停止のほか、症状回復後の心筋炎

血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中など、高い致死率との関連が指摘されています。

炎症性合併症:サイトカイン放出症候群に類似した、持続的な発熱、炎症マーカーの上昇、

また、ギラン・バレー症候群(発症後5~10日)や、

川﨑病に類似した臨床的特徴をもつ多系統炎症性症候群も欧米を中心に小児で報告されています。

二次性細菌・真菌感染症

 

症状の遷延(いわゆる後遺症)

イタリアにおける143人の患者調査では

回復後(発症から平均2ヵ月後)に87%が何らかの症状を訴えており、

特に倦怠感や呼吸困難の頻度が高かいようです。

その他、関節痛、胸痛、咳嗽、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、喀痰、食欲不振、咽頭痛、めまい、筋肉痛、下痢などの症状がみられています。

日本における電話調査(回復者63人)では

発症から60日経った後にも

嗅覚障害(19.4%)、呼吸困難(17.5%)、倦怠感(15.9%)、咳嗽(7.9%)味覚障害(4.8%)があり、

さらに発症から120日経った後にも

呼吸困難(11.1%)、嗅覚障害(9.7%)、倦怠感(9.5%)、咳嗽(6.3%)味覚異常(1.7%)を認めました。

また、24%に脱毛がみられ、発症後約30日から出現し、約120日までみられました。脱毛の持続期間は平均76日でした。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。