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院長日記

新型コロナウイルスだけでない注意すべき感染症:その② 結核

武本 重毅

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新型コロナウイルス感染禍から続く戦争危機へと、世界中が何やら物騒な状況を呈してきました。

今は戦火を逃げ惑う人々を映像で見ている側のわれわれが

いつ戦争に巻き込まれてしまうことになるのかもしれません。

 

日本では戦前から戦時中にかけて

結核で、多くの日本人が亡くなりました。

長い間死亡原因の第1位を占め、「国民病」「亡国病」と恐れられた感染症です。

その後、治療薬が開発され、死亡者数と感染者数は減少していきましたが、

また、ホームレスの人々の中などで感染が広がっているようです。

世界的にみれば結核は貧困と深く結びついています。

結核を発病すると、収入が減るからです。

 

今の日本では

高齢の結核患者の増加

そして社会経済的弱者への感染まん延という問題があります。

免疫力の低下した高齢者では、免疫反応が弱いため典型的な症状がみられず、診断が遅れ、さらには持病があるため重症化します。

また生活が困窮し栄養不足、そして不衛生な環境での生活を余儀なくされたとき、人は結核菌に感染しやすくなります。

 

国外への対策として

政府は

新型コロナウイルス感染症の流行により、結核蔓延国において後退、遅延している結核の診断治療を

日本の革新的技術を用いて推進することで

日本への結核の流入を抑えようとしています。

結核菌は細菌ですが

前回話題にした水痘・帯状疱疹ウイルスと同じように空気感染で広がります。

したがって医療従事者でも感染するリスクが高い感染症なのです。

新型コロナウイルスで話題となっている医療機関や高齢者施設での「クラスター」ですが、

もしも結核患者が施設内に出てしまうと、その施設内の全員が危険な状態になってしまいます。

咳が長引くときは要注意です。

大切な家族や職場での感染を防ぐためにも、予防と早期発見・早期治療が重要です。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。