パーキンソン病患者に出現した幻視
最近、パーキンソン病患者さんに幻視の訴えがある
という相談を受けました。
半年ほど前から特別養護老人ホームに入所中の患者さんです。
そこで少し考えました。
パーキンソン病に認知症を合併したのだろうか
それともパーキンソン病の症状は認知症の一部だったのだろうか。
実は
幻視は認知症、特に
Lewy小体型認知症の中核症状です。
そして
パーキンソン症候群もまた
Lewy小体型認知症の中核症状なのです。
ほぼ8年前から総合病院で
パーキンソン病と診断され治療を受けていた90歳代の女性が
今の施設(半年ほど入所)で
「ゴキブリが服にいっぱい付いているから着替えたい」
と訴えるそうなのです。
Lewy小体型認知症の幻視は
典型的には反復性で
具体的で詳細な内容のものであり
「人物や動物が家の中に入ってくる」
「実際にはいない人や小動物(犬、猫)や虫が見える」
と表現されることが多いようです。
以前クリニックに同じ症状の患者さんが通院していらっしゃいました。
その幻視が繰り返しあらわれているのであれば
Lewy小体型認知症の臨床症状の中で最も特徴的なものです。
確かにL-dopa合剤による幻覚の可能性もありますが
頻度はかなり低く
幻覚出現時にもL-dopa製剤は最後まで温存すべき薬剤とされています。
文献によれば
認知症がパーキンソン症候群に先行した場合
Lewy小体型認知症
パーキンソン症候群が認知症に1年以上先行した場合
認知症を伴うパーキンソン病
とする基準があるようです。