昨夜は「アレルギー疾患」をオンライン講義しました
今年度から
熊本市医師会看護専門学校の講義は
オンラインで行なっています。
昨夜は
17:35から21:05の間
第2看護学科2年生の「アレルギー疾患」についての講義でした。
アレルギーの話題として3つ紹介しましょう。
1.気管支喘息の都道府県別の死亡率
九州と四国で高く、西高東低の様相を呈しています。
2.パンケーキ症候群
小麦粉製品の中でダニが繁殖し、お好み焼きやたこ焼きを食べると腹痛・嘔吐を起こします。
3.アニサキスアレルギー
アニサキス虫体は死んでいても加熱してもアレルギーを起こします。
まず気管支喘息です。
最近の治療の進歩(吸入薬の普及)により
患者数が増えているにもかかわらず
死亡率は低下しています。
しかし各都道府県別の死亡率をみてみると
2017年の人口10万人あたりの喘息死亡率は
1位 鹿児島
2位 沖縄
3位 宮崎
4位 大分
5位 愛媛
6位 香川
7位 徳島
8位 茨城
9位 長崎
10位 高知
というように
九州・四国が上位を独占しています。
何故なのでしょうね。
次に「パンケーキ症候群」です。
今年の夏は暑かったですよね。
室内にいても熱中症予防のために
クーラーを稼動させることが推奨されていました。
しかしながら
高齢になるといまだに
クーラーは体に悪いからと
タイマーをセットして切ったり
扇風機で過ごしたりしていたようです。
そのような中
お好み焼きを作って食べたところ嘔吐が続くという
患者さんが来院されました。
聞けば、その1週前にも同様のことがおこっていたようです。
これは小麦粉の中で繁殖したダニ(コナヒョウダニ、ケナガコナヒョウダニ)による
アナフィラキシーと考えられます。
開封後の小麦粉製品の残りを室温で保存した場合
ダニが繁殖し
ダニ抗原のアレルゲン性は100℃で1時間以上加熱しても
消失しません。
今年のような暑くて湿度が高い夏など特に
開封後の小麦粉製品(ミックス粉の方がダニが繁殖しやすい)は
密封した容器で冷蔵保存しましょう。
最後にアニサキスアレルギーです。
サバやイカを食べると
その寄生虫であるアニサキスが
生きた状態で胃壁に侵入して腹痛を生じることが知られています。
しかし
アレルギーを起こすことが
知られるようになりました。
このアニサキス虫体のアレルゲン性は
死んでいても
加熱後であっても
消失しません。
アニサキスの幼虫は
サバ
アジ
イワシ
サンマ
ハマチ
ニシン
イカ
に寄生します。
最近Twitterで
スーパーの店頭に出ているサンマのパック内に
多数のアニサキスが出現している映像が拡散しました。
温暖化の影響で
水温上昇しているせいでしょうか。
これからの季節は
注意が必要なのかもしれません。