老化は疾病-「老いなき世界(LIFE SPAN)」その6:老化の情報理論
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老化に関する全く新しい理解が生まれました。
それが「老化の情報理論」です。
この理論で説明すると、一見バラバラに思える老化の要因が矛盾なく並び立ち
個の普遍的な精神のモデルへと統合されます。
それを大まかに表すと次のようになります。
若さ→
DNAの損傷→ゲノムの不安定化→ DNAの巻きつきと遺伝子調節(つまりエピゲノム)の混乱
→細胞のアイデンティティの喪失
→細胞の老化→病気→死
私たちのDNAは絶えず攻撃にさらされています。
平均すると、細胞が自らのDNAを複製するために
46本ある染色体のそれぞれが何らかの形で損傷します。
これが積もり積もれば
1日に2兆回余りもDNAが傷ついていることになります。
おまけにこれは複製の最中に起きる損傷だけです。
このほか
自然放射線や環境中の化学物質
レントゲンやCTスキャン
などによってもDNAはダメージを受けます。
もしDNAを修復する仕組みが体内にそなわっていなかったら
長くは生きることができません。
だからこそ
DNAの損傷を感知し
細胞の増殖を遅らせ
DNAの損傷が治るまではその修復にエネルギーを振り向ける
仕組みを進化させました。
これを「サバイバル回路」と呼びます。
哺乳類では
生殖能力をコントロールするだけでなく
細胞内の何百というタンパク質からアセチル基を取り除く仕事をしています。
前述のヒストンはもちろん
細胞分裂や細胞の生存
DNAの修復
炎症
ブドウ糖の代謝
ミトコンドリアなど
いろいろな機能を調節するタンパク質がその仕事の対象となります。